April 23, 2009

守るもの、壊すもの

studio サニーハイツ

最近なんとなく自分の中に曲づくりの波が来ているので、ずーっと曲ネタを考えながら生活しています。

僕はいつもいつもコンスタントに曲づくりのことを考えている感じではないのですが、自然に自分の中でそういう熱が高まってきた時は、与えられるインスピレーションを逃さないように、また自分に余計なプレッシャーを与えないように、コントロールをしながら曲を考えていきます。
といいつつも〆切があるときはそんな余裕はないんですが。

楽曲制作も長く続けていると、自分の中のパターンや傾向みたいなものが見えてくるんですが、そのパターンの中でも意図的に壊す部分と、意識的に守る部分のバランスをとりながら何かをイメージすることも大事みたいです。

例えば、僕は、何をつくるにしても「これだ!!」というアイディアが形にならないうちは、そこから前に進めないんですね。どんな小さなフレーズでも、歌詞でも、音でも、また頭の中のビジュアルでも、心から納得して「これは良い!!」と思えるものから膨らませていかないと、うまくいかないんです。

「そこそこ良い」「まあまあ良い」みたいなアイディアがたくさん出てきて、それを組み合わせてなんとなく良くなりそうに見えても、そのまま進むと芯のない、とらえどころのないものが出来てくるという事が今まで多かったですね。

だから、この「心から良いと思えるものを核にする」パターン・傾向は、今のところ僕の中では「守るべきもの」。

対照的に、壊してきたものといえば、今まで僕は作曲のメインアイテムは「はなうた」でしかなかったんです。最初からギターや鍵盤を触ると、どうしてもコードや「それっぽい感」に捕らわれてしまって、新鮮なものが生まれてこなかったんですね。だから「はなうた」で良いフレーズを探してた。

でもこの前、このパターンをわざと壊したんです。最初からギターを握って、ギターの音の響きの中から曲を練ってみようと思って。
そうしたら、思わぬコードや響きに行き当たったりして、そこから自然にメロディーが流れてきて、という感じになったんですね。

今回の曲づくりの波の中でも、どれを守って、どれを壊して、新しい風を吹かせるかという事が楽しみだし、いつも新しい足がかりを探しながら曲をつくっていくと、新鮮な気持ちになれるし、それはすごく大事なんですよね。

もちろん曲づくりで大切なのは手法ではないと思っています。でも手法にも新しい空気を入れることもまた、大事なことでもあるかなと。

ちなみに今回の「新しい風」は、曲づくりの波は来ているのに「全く」何も浮かばないことから、僕の敬愛する村上春樹氏おすすめの「チャンドラー方式」というものを採用したこと。

これは作品ができてもできなくても、時間を決めてとにかくデスクに向かうというもの。別に曲のことから考えがそれて行ってもいいから、とにかくデスクの前に座って、何か思いついたときに何時でも作業に移れる環境に自分を置いておくんですね。

というわけで、そのチャンドラー方式の真っ只中で、逃げるようにこんなに長いブログを書いているわけです。

これから1時間、デスクの前にいようと思います。
さあ、この手法は僕を新しい曲づくりの境地に連れて行ってくれるんでしょうか。